大判例

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福島地方裁判所 昭和27年(行)6号 判決

原告 新開友喜 外二名

被告 大堀村議会

一、主  文

原告等の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、事  実

原告等訴訟代理人は、「原告等が、被告議会の議員であることを確認する。被告議会が、昭和二十七年二月二十九日にした、原告等が、被告議会の議員の職を失つたものと認める。との議決は、無効であることを確認する。もしそうでないとしても、右議決を取り消す。訴訟費用は、被告の負担とする。」との判決を求め、その請求の原因として、

原告等は、昭和二十六年四月二十三日施行された選挙によつて被告議会の議員に当選し、じ来その議席を有していたが、昭和二十六年十一月二十一日の議会において、大堀村長山田広秀に対する不信任案が提出され、その審議に当つて、議場は、甚しい混乱に陥いつたので、議長亀田松助は、何等の結論を得ぬままに閉会を宣した。原告等は、かような議会と村長との間の確執を解消し、両者の和解を計りたいと思い、亀田議長と相談の上、両者の反省を求める方法として、同月二十三日亀田議長に書面で辞職を申し出た。亀田議長は、その許可を留保していたが、昭和二十六年十二月十六日隣村の村長、その他の人々のあつ旋により、村長と議会との和解が成立したので、原告等も、その場で辞職の申出を徹回し、亀田議長から、さきに提出した書面の返還を受けた。従つて、原告等は、依然、被告議会の議員であるのにもかかわらず、昭和二十七年二月二十九日の議会において、原告等の右辞職の問題が取り上げられ、「原告等は、地方自治法第百二十六条の規定により、被告議会の議員の職を失つたものと認める。」との議決をし、仮議長中西好蔵は、昭和二十七年三月四日ごろその旨原告等や、大堀村長に通知をし、他方、大堀村選挙管理委員会に、被告議会の議員に欠員を生じた、との通知をしたり、その他各種の方法で、原告等の議員たる資格を争うので、原告等は、被告議会の議員であることの確認及び右議決が、無効であることの確認、仮に、右議決が無効でないとしても、その取消を求めるため本訴に及んだものである。

と述べ、被告の抗弁事実中、昭和二十七年五月一日の議会で、大堀村長に対する不信任案が、可決され、同月七日被告議会が、解散されたこと及び同月三十日新議員の選挙が施行されることは、いずれもこれを認めるが、本件議決があつたことによつて、原告等は、現に種々の不利益を被るから訴の利益があると述べた。

(証拠省略)

被告訴訟代理人は、原告等の請求を棄却する、訴訟費用は、原告等の負担とする、との判決を求め、原告等の主張事実中、原告等が、昭和二十六年四月二十三日施行された選挙によつて、被告議会の議員に当選し、じ来その議席を有していたこと、昭和二十六年十一月二十一日の議会で、村長に対する不信任案が、上程されたこと、原告等が、議会閉会後同月二十三日亀田議長の下に書面で辞職を申し出たこと、昭和二十六年十二月十六日原告等主張の人々が集合し、協議したこと、昭和二十七年二月二十九日の議会において、原告等主張のような議決がされたこと、及び被告が、原告等主張の方法を講じ、原告等の議員たる資格を争つたことは、いずれもこれを認めるが、その余の事実を争う。原告等が、亀田議長に書面で辞職の申出をしたとき、亀田議長は、これを容認して、許可をしたのであるから、原告等の議員たる資格は、そのとき失われたものである、と述べ、抗弁として、昭和二十七年五月一日の議会で、大堀村長に対する不信任案が上程可決されたので、同村長は、同月七日被告議会を解散した。新たな議員の選挙は、同月三十日施行されることになつている。従つて、原告等の本件訴は、正当な利益を欠いている。と述べた。(証拠省略)

三、理  由

原告等の主張は、要するに、昭和二十六年四月二十三日施行された選挙によつて、原告等は、いずれも被告議会の議員に当選し、じ来その議席を有していたところ、被告議会は、昭和二十七年二月二十九日原告等が、地方自治法第百二十六条但書の規定により、被告議会の議員の職を失つたものと認める、との議決をし、その後種々の方法で、原告等の議員たる資格を争うので、原告等は、被告議会の議員であることの確認及び右議決の無効確認、若しくは、その取消を求める、というのである。

しかるに、被告議会が、昭和二十七年五月一日大堀村長に対する不信任案を可決し、同村長が、同月七日適法に被告議会を解散したことは、当事者間に争のないところであるから、従前の議員のすべてが、右解散によりその資格を失つたことは明らかである。

従つて、原告等の議員であることの確認請求は、過去の法律関係の確認を求めるに帰着し、即時確定の利益を欠くものというべきである。又、本件において、右裁決のかしを判定するのは、結局、原告等の議員たる資格の存否を確認し、若しくは、これを回復するために必要なのであり、従つて、原告等が、現に、その資格を有せず、又これを回復する余地のないことが、明らかである以上、右議決の違法の有無を判断する法律上の利益、すなわち、右議決の無効確認若しくは、その取消を求める利益は、もはや、存在しないものといわなければならない。

そうすると、原告等の本訴請求は、いずれも訴の利益を欠いているから、これを棄却すべきものとし、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法第八十九条の規定を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 斉藤規矩三 菅家要 篠原弘志)

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